カーテンを開けると太平洋が見える。裏には琉球を統一した尚巴志王が拠点としていた大きな城があり、その辺り一帯が亜熱帯林で覆われた高台がある。
私の住む周りには、琉球開びゃくの祖アマミキヨにまつわる場所を、琉球王国によって祈りの場として定めた聖域が多く存在する。
そこには祖先崇拝と自然の中に神を見出すアニミズム信仰が根底にあると言われている。
関東の小さな街から沖縄にやってきて18年目に入る。一時的に沖縄から離れたり、それまでも沖縄の神話とは異なる軸で生活をしていたが、コロナ禍をきっかけに、自分の生活圏にはどんな歴史や文化を持つのかを知りたくなった。それを知ることで地に足をつけて「沖縄で暮らす」ことができるのではないかと考えている。
しかし実際は、交通渋滞に痺れを切らしながら、声高な意見に少しだけ耳を塞ぎながら都市へと働きに出る。今の私の生活はこれである。
琉球が育んできた文化、沖縄がたどってきた歴史を知り、自然の息吹を感じ、海の鼓動を身に染み込ませる、やわらかでしなやかな日々への希望を探しながら、今日も写真を撮り続ける。
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